第35話「浪人・泰蔵 物語」

元治元年8月5日、英米仏蘭の連合艦隊が下関を攻撃しました。その英国軍艦に一人の日本人が同乗していたらしい・・・。幕府は当然、その実態探索に血眼になりました。長崎滞在の英国人の手引きによるのものと、捜索の手は長崎にのび、長崎奉行はその容疑者として、藤田泰蔵と名乗る当時無宿の浪人者を捕えました。この浪人者、事実を認め一切を白状しましたが、幕府瓦解の寸前であり、本人の口書に書き留められたのみで、判決があったかどうかははっきりわかっていません。今回は、後の伊藤博文とも交流があった、藤田泰蔵の口書を中心にお届けします。

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